前回の記事でポリヴェーガル理論がHSPだけでなく、恐怖や危険に対する反応として、動けなくなる、燃え尽き症候群や体調不良に陥るのではないか?という見方があるという話をしました。
もう少し詳しく説明すると、従来の自律神経は、交感神経(緊張系)と副交感神経(リラックス系)の2つに分け、生活の場面でその2つの神経のスイッチを切り替えてきたと考えられていました。
2021年、アメリカの神経生理学者スティーヴン・ポージェス博士は、副交感神経には2種類あり、「腹側迷走神経」=腹側の神経は顔や声、心臓、呼吸をコントロールし「背側迷走神経」は背中側、心臓より下の内臓をコントロールしているという「ポリヴェーガル理論」を発表しました。
医学者、心理学者、セラピスト、カウンセラー、コーチングなどの仕事に携わっている方々は「心と体はこういうふうに繋がっているんだ!」と大注目でした。
そして博士は人と健全な関係を築くうえで大事なのは、緊張感がある場ではなく、「安心・安全」の場であることが重要で、アドバイスとして「この人と一緒にいて、くつろげますか?安らげますか?」という質問を投げかけていらっしゃいます。
ビジネス系の講師の方々がこれを真似して、「この場所は安心安全な場であります」ということを言うことが多くなったのも、ポリヴェーガル理論がきっかけでした。
また博士は「ヨガ」は呼吸とヨガ独自の動きで、自律神経に働きかけ、心と体をコントロールするのにピッタリとヨガを推奨したので、ヨガインストラクターにも大注目でした。多分、太極拳とかピラティスも呼吸を意識しているので、同じだと思いますけどね…
ポリヴェーガル理論の重要な部分を少しだけお話ししましたが、簡単に言うと、体のなかで起きていることが行動に影響していることが、理論的に分かったという話です。
(私がエナジーバンパイアと関わっていると、エネルギーを全部吸い取られていくような感じがして、疲弊して会いたくなくなるのも、この副交感神経が関係していたってことですね)
この話を踏まえて、この記事では体のなかをどうやって自分で整えるのか?という私の場合と何故、そこまで具合が悪かったのかということを記事にしたいと思いました。
自分の身体を整える方法を知る
結論から言うと、自分の今の体質を知り、合う食べ物を食べて、合わない食べ物をなるべくとらないように心がけ、日々自分の身体に向き合い、淡々と暮らしているというだけですが、そこに至るまでに時間がかかりました。
これまでにも書きましたが、私は幼少期からすごく具合が悪く、病院に通っていないときがないというほどでした。ですが、検査しても数値には何も異常がないので、問題がないと言われ続けました。なので、学校や職場の健康診断で引っかかったことも一度もありませんでした。
幼かったこともあり自分で調べることもなく、病院に通っていれば、具合が悪い原因が分かり、病名が分かるのではないか?と思い込んでいました。また両親ともに、病院に行けば病気は治るという考え方でした。
30代になり、それでも病院に通い続ける私に
「みんな具合が悪いながらも生活しているから、もう病院に行かなくていいじゃない?」と母が言った一言を機に、「確かに病院に通っても全く良くなっていないな…」と思い通院をやめました。
そのときに思ったのは、「こんなに体の調子が悪くて、普通に生活出来ているの?みんなすごい…」と思ったのと、「私はみんなと同じようにはできない、痛みを我慢し続けているのに、この状態で普通に生きるのは無理だ…」とがっかりしました。
私の母も体調がよかったことがないので、そう言ったんだと思いますが、結果的に病院に行き、処方された薬を飲む習慣がこの時点でなくなったことはよかったです。反対に「具合が悪いのが当たり前」と言う母の言葉を信じなくて、よかったと思います。
話は戻りますが、
何も見つからないのに、私は「体が何かおかしい」と言い続けたので、先生がそういう人に言えるのは、「心の問題ですから、精神科に行ってください」でした。
こんな感じで、現代の医療では、体の調子が悪ければ内科をはじめとする体の病気を治すところに行く、それでも治らないときは、虚言癖がある、心が不安定とし精神科や心療内科に行くなど、別々のアプローチから治療することが普通です。
ただこの治療の仕方は、現代医療においてで、2000年以上前からあるアーユルヴェーダ(インド医学)や中医学(中国医学)では、「心と体は当然、繋がっている」ので、心を治す、体の箇所を治すという部分的な対処療法はありません。
心を含めた体全体で起きている問題がどうして起きているのか?という根本原因を知りアプローチするので、治し方が違い、生活習慣、特に食習慣を改善していくので、長期戦で時間がかかります。
私は独学であれこれ調べながら、自分で治していったので、3年ほどかかりました。中医学でも具合が悪くなってしまった人が完全に治るまでは3年かかると言われているので、そんなに時間の差異はなかったけれど、ちゃんと学習したら、もっと早く治ったと思いました。
元気になって言えるのは、「具合が悪い=普通」ではないということです。生きていた年数=具合が悪かった年数がほぼ同じ私でも、それは普通ではなかったと言い切れます。
そして、調子が悪い状態では何も続けられないし、何をやってもうまくいきませんでした。HS気質は全くないとは言えないけれどほぼ不具合を感じない、口癖も行動も性格も全部、体調が左右していたので、元気になってからは、諦め癖やすぐにやめる、3日坊主ということがなくなったのも、体質を知って、自分で整えることを習慣にしてからです。
何故、整えるのに3年もかかってしまったのか?
これも結論から言うと、両親、祖父母、曽祖父母、それよりも前からの先祖、一族の食習慣と、健康に対する知識や意識がほぼなかったために起きていました。
私が何度も、その食べ物は調子が悪くなるから控えたいと言っても、家族が理解することはなく、「その食べ物を食べて健康になっているかどうかよりも食べたいものを食べる」という考え方を変えることは出来ませんでした。もちろん、自分を欲するもの=体が欲っしているものでもあります。それが菓子パンなどの菓子類、インスタント食品を含む加工品ばかりでは、健康を意識した食生活だとは言い難いです。
私自身、好物を我慢したり、食べ物を粗末にしないという教育を受けていたためか、食べない選択、「NO」が言えずに、常に満腹状態が普通でした。
健康に対する知識や意識って何?というと、難しい専門用語を知っているとかそういうことではなく、何を食べたら調子が悪くなるのか?どのくらいの量の食事量であれば、問題なく消化できるのか?自分が健康でいられる食事、食事の仕方、そういうことを、幼少期からの食事から学ぶことはありませんでした。
そして何を食べても具合が良い人、何を食べても具合が悪い人(=何を食べるかで具合が左右する人)が、一つの家庭に混在し、同じものを食べても、片や健康なのに、片や具合が悪いという状態が、分かりにくくさせていました。
我が家において、常に具合が悪い組は、元気になりたい一心で、健康情報(おもにNHKが多かったですが)を得るたびに色々実践していました。実践してよくもなっていないのに、これを続ければ元気になれると信じて続けていたというのも、自分の体質を知らなかった、その情報が合う体質がどういう体質なのか?を見極める術をもっていなかったです。
元気になった今は、食べたいものも食べますが、それを食べたあと、どうなるか?ということも理解しながら食べるので、何も知らないで食べていたときよりは意識は変わりました。
すべては自分の体のなかで起きていること
HSPの提唱者エレイン・N・アーロン博士の著書『ひといちばん敏感な親たち』のなかで、体の4つのシステムは栄養不足によって、また何らかの感情的なストレスで消耗してしまうと、筋肉及び機能に影響し、子育ては肉体労働なので、この4のシステムに十分ケアすることの重要性を説かれています。
- 消化器系 →胃と腸の働きなど
- 神経系 →自律神経(交感神経・副交感神経)など
- 内分泌系 →オキシトシン(幸せホルモン)、コルチゾール(ストレスホルモン)など
- 免疫系 →自己免疫など
この本はHSPの子育てに特化して書かれてありますが、子育てをしていないHSP、非HSP関係なく、この世に生きている全人類に共通して、この4つのシステムが健康を左右します。そして「など」で濁していますが、それ以外のホニャララすべてが、体のなかに存在していて、それらが正常に働いているかどうかは、自分次第です。
HS気質があってもその気質を活かし活躍できる人と出来ない人との違いは、自律神経だけでなく、体のシステム(消化器系、神経系、内分泌系、免疫系)が整っているor整っていない、重要視しているor重要視していない、意識しているor意識していない、意識しなくても整っているor意識しないと整わない…こういう差があり、生きにくいと感じる人の大半は後者側なのです。
そして、それらのシステムを整えるために食べる食べ物が自分に合っているかor合っていないのか?合っていない場合は、自分で「No」の線引きが出来ない状態に気付かないと、整いもしない、食べてもどんどん悪くなるという悪循環が永遠と続きます。
病院に通って処方された薬を飲んでも、副作用が強くでるだけで余計悪くなる、ちっとも治らなかった原因は、「口に入るそれ、あなたを良くしていますか?」「どういう作用をするのか?」という視点が抜け落ちた、現代の食習慣と現代医学の代償なのかもしれません。